よいこの読書録

よいこが読んだ本の感想を好きなように書くの

かさをささないシランさん 著:谷川俊太郎 絵:いせひでこ

・出だし

かさをささないシランさん
この本を手にとったのはタイトルに惹かれたから
僕もシランさんと同じで傘をささないから
どんな話かなって気になって手にとりました

表紙はすごくシンプル
華やかな楽しみはないかなって思いながら
作者を見ると
谷川俊太郎
国語の時間によく見かける作者の名前に少し、期待しちゃいます

・ストーリー

ページをめくると少し大人びた絵が広がって
なんとも懐かしい気持ちになります

シランさんという若者について、
そのディテールが描かれる
彼はまじめで、働き者、独身だけど友達は多そうです

多くの人と同じようにテレビに悲しいニュースに胸を痛めながら
よくある話だと物わかりよく
目線をはずしていく

シランさんに手紙が届く
罪もないのに牢屋に入れられた人にあなたも手紙を書きませんか?
かわいそうだけど、どこか遠くの人の話で、その人がほんとうに悪いことをした人かもしれないと
手紙を捨ててしまう

シランさんは突然逮捕されます
おまえの家には一本も傘がない
雨がふっても傘をささないのはなぜだと問われ
あめにぬれながらあるくのは気持ちがいいと答える

我が国ではそんな人はいない
人と違うことを考えるのは敵だ!!
そのままシランさんは逮捕されてします

評価していた会社の人、仲が良かった友達、みんなシランさんはいい人と思っていたけど
ひとは見かけによらないと冷たくなっていく

そこで場面がかわり
シランさん宛に手紙を書く誰か
それは遠い国のシランさんを知らない人
あなたがかわいそうだ
あなたとは一度もあったことがないが友達だと・・・

そこでこの話は終わっていく

・感想
シランさんを見かけによらないといった人は冷たいだろうか
僕はそんな風には思えない
きっと多くの人がそう思うだろうし
シランさんもそうだった
目に見える悲しみ、苦しみをよくあることだといって
目線をはずしていく

世間にはたくさんの苦しみがあふれかえっている
それを一つ一つ拾い上げていたら
自分の感情は壊れてしまう
それでもシランさんに手紙を書いた人のように
自分が何かをすれば、誰かの気持ちが軽くなることは
よく、よく、分かっていなければいけないと思う

この話は身近な人が案外冷たく、遠くの人でも君を思ってくれる人がいるという話ではなく
距離の遠近ではなく、人が人を思くことで生まれる優しさ
普段、いろいろな思いを切り捨てて、自分は幸せに生きてるんだよ
たまに誰かに優しさをふりまいてもいんじゃない
そんな気持ちにさせてくれる内容でした。

かさをささない僕もシランさんのように思想犯として逮捕され
いつか投獄されるかもしれないから
自分の優しくできる範囲で人を幸せにしたいと思った。

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